定番へと食いこむ焼きそば

定番へと食いこむ焼きそば

原点は子供のおやつ

現代ともなると創意工夫といった料理が様々登場してきている。料理人の方々が想像に創造を凝らして作り上げられるそれは時に芸術作品となり、時に本当にこれは食べ物なのだろうかと疑問視したくなるような造形となる場合もある。個人的には料理人もいわゆるクリエイターとしての側面があると考えている、それこそ芸術家といって遜色ないレベルだ。考えてもみよう、料理と呼ばれるものは最初から誰かに紹介されたわけではない、人間が一から生み出した創造物という点を蔑ろにしてはいけない。ここでいきなり神様、といって宗教上の違いはあるが、つまりはギリシャ神話でいうところの万能新ゼウスの本妻であるヘラ、日本神話では太陽神として高天原を統治している天照大御神、インド神話におけるパールバティーなどといった、名のある女神たちが割烹着姿で人間たちに料理を教えたわけではない。逆にそんな伝承を伝えようとしたらシュール過ぎて、現代に持ち越されたらある意味笑いのネタにされてしまうだろう。

料理って実に奥が深い、それこそ歴史という歴史を紐解いていったらその起源が果てしなくどこまでも続いていくものであり、中には誰が生み出したかわからないが、いつの間にか国民的愛食という地位と名誉を獲得しているものまであるほどだ。今回はそんな料理というテーマの中で日本ではおなじみの『焼きそば』について話をしていこう。焼きそばというと今でこそ一般家庭を始めとした様々な人々に親しまれている料理だが、いつから誕生したのかと紐解いていくと焼きそばは誰もが食べるものではなく、子供を対象に駄菓子屋で販売されていたことが始まりだったという。

駄菓子屋も現代では街中に1軒あれば良いレベルだが、見かけると入りたくなるのは気のせいではない、入れば入るだけテンションは軒並み上昇するものだ。ただここでいうところの焼きそばを実演販売している様子はさすがにない。焼きそばを商品として実際に売っていたのは日本がまだ戦後から立ち直りきっていない時代、昭和30年ほどだと言われている。また一説には浅草では既に昭和10年、戦前から焼きそばが食べられていたという記述もあるらしく、それ以前から親しまれていたとも考えられている。起源こそ浅草だが、そこから時代は20年ほど経過して子供のおやつという地位を得たことで知られたため、本当の意味での黎明期はおやつから始まったと考えるべきだろう。

その後は一般家庭にも食べられるようになる

『焼きそば=おやつ』というイメージが昭和中期以降の子供たちで定番となっていったらしいが、何となく想像がつかないのは現代人だからこその感覚かもしれない。その頃の人々にとって焼きそばは間食程度のものとしか見ていなかったのかもしれないが、今では普通の夕飯として出される時もあるはず。現に親が焼きそばを好きだということもあって子供の時から出されていたが、子供ながらにあの味になれるまで少し時間がかかったと、何となく覚えている。珍しいかもしれないが、苦手なものは苦手だった。

昭和の人々、特に成人した人たちにとっても焼きそばを食事と思う人は少なかった模様。おそらく子供が食べるものを大人が食べては可笑しい、といった価値観が根付いていたのかもしれない。この時代、子どもと大人は別次元の存在といったような風潮が何処かあったのかもしれないが、いざ誰かが焼きそばを食べてみるとその味に病みつきになったのだろう。その後段々と焼きそばを否定していた大人が、世間という単位となって焼きそばを認め始めるようになる。

初期の頃こそ浅草名物、といった起源から始まり、その後子供たちに大人気の定番おやつとしてその歴史の幕を本当の意味で開けて、それから徐々に大人たちにもその味を舌で体感してもらい、食事として通用するという保障も取り付けた、と言ったところだ。焼きそばを作っていた人たち、メーカーの意地も少なからずあったと見るべきだろう。当時話題を集めようとしていた人々の思惑が何処にあったのかは分からないが、人気となった現在でそんなことを問うのは不毛かもしれない。

何にせよ、焼きそばが一般的に食べられる食事として認定されるまで長い時間を要することはなかった。

インスタントが登場

そしてこの頃、ほぼ焼きそばが人気を博すことになった時期に合わせて登場し、日本人にとって定番商品となったものも出て来る。そう、インスタント食品だ。簡単手頃、お湯だけ用意すればすぐさま焼きそばが食べられるというフレーズと共に焼きそばという知名度を全国的に拡大していった。この頃にはインスタント食品が登場したわけだが、同じインスタントでもカップラーメンについては数年後に登場したと言われているため、インスタントカップ食品としては焼きそばの方が早かったという。

そういうところも見ると、焼きそばとラーメンというものの歴史が古いということ、そして何かと比較されるこの二つの料理が既に日本人にとって定番中の定番料理になったと言われているのだから、考案した人は同業者からすればカリスマどころの話ではないだろう。こんな便利者を開発してくれて本当にありがとう、誰に言うわけでもないが高らかにそう言いたくなる。

焼きそばと言っても色々ある

今回は焼きそばについて話をしているが、地域によって色々な作り方が存在している。所謂ご当地グルメとなって焼きそばも七変化ばりに地元ならではの特異性を帯びてその地位を確固たるものとしている。そのため焼きそばは全国で変わり種として愛されている食品として『B-1 グランプリ』で度々出展している。

種類も本当に豊富なので全ては紹介できないが、こんな焼きそばが各地で作られている。

  • 秋田県の焼きそば:ホルモン焼きそば
  • 新潟県の焼きそば:イタリアン
  • 長野県の焼きそば:ローメン
  • 兵庫県の焼きそば:そばめし

ホルモン焼きそばとそばめしに関してはかなり有名どころだろう、実際に食べたことがない人でも名前だけなら聞いたことがあるはず。後者のそばめしに関しては学生時代に学園祭での出店として出店していた、なんて人もいるのではないだろうか。炭水化物と炭水化物のコラボとなっている、これがまた美味しいから病み付きになる。

対して新潟県と長野県のご当地焼きそばについては、正確に言えば焼きそばとは少し異なるものだと紹介されているが、一応の定義として焼きそばとして考えられている。この二つも本当に焼きそばなのかと言いたくなるくらい、かなり変わっているので訪れた際にはこういった普段食べているものをアレンジにアレンジを加えている食事を楽しむのも観光の醍醐味だ。

今ではカップ焼きそばが定番?

こうしてみると、焼きそばという食事が日本の中では定番となりつつある。コンビニやスーパーを訪れても必ず商品が陳列しているので、必ず一度は無意識に見ているだろう。だが一つだけ冷静になって考えると、焼きそばを商品として取り扱っているところ、これが案外中華料理屋以外で日本の国民食という立ち位置で取り扱っているところが案外少ないという事実に気づく。また焼きそば専門店といったものもお祭りの出店として出展していることも、それほど多くはないように思う。国民食ならば専門店があってもおかしくないのではと考えると、やはり何かが違うのかもしれない。

どちらかと言うと家庭で気軽に食せるもの、それが現代風焼きそばの立ち位置なのかもしれない。そんな焼きそば、主にインスタントを題材に取り上げていくが次からはインスタント食品メーカーとしても有名な『東洋水産』のカップ焼きそばについて話をしていこう。

魅惑の香り!ソース焼きそば♪

    焼きそばってなんでこんなに美味しいんだろう?